専門医によるピロリ菌専門外来
ヘリコバクターピロリ菌感染症について

ヘリコバクターピロリ菌は幼少期の頃に井戸水などから経口感染し、持続感染によって「ピロリ感染性胃炎」「萎縮性胃炎」を引き起こします。胃炎の拡がり、炎症の程度は個々で様々ですが、もっとも重大なリスクは、胃がん発生母地になりうることでしょう。ピロリ除菌治療が強く推奨される疾患を下に列挙いたします。
- ピロリ感染性胃炎(活動性の萎縮性胃炎)
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 胃過形成性ポリープ
- ピロリ菌関連の機能性ディスペプシア
- 胃食道逆流症(GERD)
- 早期胃癌に対する内視鏡的切除後
- 胃癌に対する胃切除後
- 胃MALTリンパ腫
ピロリ除菌治療を保険診療として行う場合、胃内視鏡検査(胃カメラ)で「ピロリ感染性胃炎」「萎縮性胃炎」であることが確認され、さらには別途検査でピロリ菌感染の確認が必要です。
当クリニックで採用しているピロリ検査方法は下記となります。
- 迅速ウレアーゼ試験(内視鏡検査中に採取した粘膜組織を用いて行う)
- 鏡検法 (内視鏡検査中に生検組織を病理組織診断によって評価:updated Sydney system)
- 尿素呼気試験(UBT)
- 抗ピロリ血清抗体
*なお、尿や便をサンプルとして用いた測定法も推奨されていますが、新型コロナウイルス感染症に対する院内安全対策の一環として、当クリニックでは尿や便のサンプルを用いた検査法は採用しない方針としていますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
ピロリ除菌治療は 100% 確実な治療ではありません。一次除菌後、約2~3割ほどの方が除菌不成功 (不応) になることがあります。そのため、除菌が成功したかどうかを判定するために、当クリニックでは除菌治療後8週以降に尿素呼気試験を行っていただいています。
もし除菌が不成功に終わった場合には、抗菌薬を変更して二次除菌治療を行っていただきます。二次除菌であれば、9割ほどの除菌成功率が見込めます。
一次除菌・二次除菌がだめでも三次除菌を
当クリニックでは、萎縮性胃炎があり胃発がんリスク低下を目指す患者さん、消化性(胃・十二指腸)潰瘍のある患者さん、ピロリ菌感染が原因のために腹部症状が生じている患者さんには積極的に除菌治療を行っています。
また、自費診療にはなりますが、保険外診療である「三次除菌」、希望によっては「四次除菌」まで行うことも可能です。対象となる患者さんは次の方です。
- 一次除菌・二次除菌でピロリ除菌が不成功に終わった方
- 抗菌薬の副作用のため除菌治療を中止した方
- ペニシリンアレルギーのため除菌治療ができなかった方
注意点として、ピロリ除菌が成功しても発がんリスクが決してゼロになるわけではありません。除菌後の胃がん発生も起こりえます。また消化器症状がピロリ除菌ですべて解決するわけでもありません。したがって、当クリニックでは多角的なアプローチでピロリ除菌後の定期的な経過フォローもしっかり行っています。
また、三次除菌まで希望されない患者さんであっても、当クリニックでは定期的な内視鏡観察(サーベイランス)を行っていますので、お気軽に当クリニックのピロリ菌専門外来を受診してください。
一方、当クリニックは、通り一遍、ピロリ菌感染者全員が除菌すべき対象だとは考えていません。なぜならば、個人によってはピロリ菌感染によって維持されている免疫応答・生体機能もあるからである。したがって、例えば高度なアレルギー疾患を有する若年者や80歳以上の高齢者の場合、ピロリ除菌治療による利益・不利益を慎重に勘案しながら、丁寧なピロリ菌診療に努めています。
ピロリ菌についてなにかお悩みの方は、専門医のいる当クリニックを受診してください。
ピロリ除菌治療レジメンについて
東京目白クリニックにおけるヘリコバクター・ピロリ除菌治療レジメンについてはこちらをご確認ください。