ドックや健診のエコー検査で「異常なし」は本当?-膵臓がんリスク因子を知る

これまで、人間ドックや職域健診の検査項目として腹部エコー検査を受けたことのある方は少なくないはずです。しかしながら、その結果の信憑性についてあまり議論されることがありません。多くは、画像も供覧されず詳細な説明もないまま、簡略な形式で結果のみが伝えられているのではないでしょうか。
この問題は、内視鏡検査についても同様に言えることです。当然のことながら、検査の質は検査をする者に依存します。腹部エコー検査の場合、実施者は医師ではなく検査技師が行っている施設も多いようです。もちろん、しっかりとした教育が行き届いている勤勉な技師であればエコー検査で問われる「存在診断」は信頼できるといえますが、皆がみなそうだとは限りません。とりわけ膵臓に関しては、疾患や病態のことがあまりよくわかっていない技師においては診断レベルに限界があるのもまた事実でしょう。

以下に提示するケースは、東京目白クリニックで人間ドックを受けた患者さんたちで、すべての症例において膵臓がんリスクを有しているケースです。これらはみなドックや会社健診の腹部エコー検査で常時「異常なし」と判定され続けていました。膵臓がん罹患数、死亡者数が増多の一途をたどっている現状、人間ドック・職域健診での安易な「異常なし」には注意が必要です。

■最大径7mmまでの分枝型IPMNが多発 ■膵萎縮 ■膵辺縁が凸凹不整

■最大径14mmまでの分枝型IPMNが多発 ■膵萎縮 ■膵辺縁が凸凹不整

■最大径20mmまでの分枝型IPMNが多発

■祖父: 膵がん ■主膵管拡張: 4mm ■びまん性に膵萎縮

■糖尿病 ■主膵管拡張: 5mm ■膵辺縁が凸凹不整

■母: 乳がん 祖父: 膵がん ■最大径5mmの分枝型IPMN ■膵辺縁が凸凹不整

■父: 膵臓がん ■糖尿病 ■最大径8mmまでの分枝型IPMNが多発